ラズパイで本格的なオーディオ処理!PatchboxOSとMODEPで始めるオリジナルマルチエフェクター

ナカジ(@cp_nakajun)です。
以前、MOD Dwarfという魅力的なマルチエフェクターについて記事を書きましたが、あのビジュアルプログラミング的なペダルボード構築の世界に、実はRaspberry Piでも触れられることをご存知でしょうか?
ノードベースプログラミングがペダルに!ZOIA・Beebo・MOD Dwarf-モジュラー型マルチエフェクター比較してみた
今回は、手元に眠っているRaspberry Pi 3B+を音楽制作マシンに変身させる「PatchboxOS」と「MODEP」について詳しくご紹介します。
PatchboxOSとMODEPとは?
PatchboxOSの概要
PatchboxOSは、Raspberry Piを音楽制作・オーディオ処理に最適化したLinuxディストリビューションです。Blokas社が開発しており、低レイテンシーなオーディオ処理を実現するための様々な設定が最初から施されています。
通常、Raspberry Piでリアルタイムなオーディオ処理を行おうとすると、カーネルの設定やJACKオーディオサーバーのセットアップなど、初心者には難しい作業が必要です。PatchboxOSはそれらを全て解決してくれる、まさに「すぐに音楽制作を始められる」OSなのです。
MODEPの魅力

MODEP(MOD Emulator for Patchbox OS)は、PatchboxOS上で動作するギター/ベース用のマルチエフェクターソフトウェアです。名前の通り、MOD Devicesの製品であるMOD Duoシリーズのエミュレーターとして開発されました。
MODEPの最大の特徴は、ウェブブラウザ上でビジュアルにエフェクトチェーンを構築できること。LV2形式のプラグインを使って、ドラッグ&ドロップでペダルボードを組み立てていく体験は、まるでパズルのように楽しいものです。
必要な機材
MODEPを始めるために必要なものは意外とシンプルです。
基本セット
- Raspberry Pi 3B+以降(3B+、4、5が推奨)
- microSDカード(16GB以上、Class 10推奨)
- USBオーディオインターフェース
- 電源アダプター(Raspberry Pi用)
- LANケーブルまたはWi-Fi環境
あると便利なもの
- MIDIフットコントローラー(ペダル切り替え用)
- ケース(演奏時の保護のため)
- ディスプレイ(初期設定時のみ)
私の場合、すでにRaspberry Pi 3B+を持っていたので、新たに購入が必要な機材を検討するところから始められました。
MODEPでできること
MODEPの操作は直感的です。画面左側のプラグインリストから好きなエフェクトを選び、中央のペダルボードエリアにドラッグ。入出力を線で繋いでいくだけで、エフェクトチェーンが完成します。
豊富なエフェクトプラグイン
MODEPはインストールは必要ですがLV2プラグインが使えます。LV2プラグインのインストールはMODEPのブラウザから簡単にできます。
- オーバードライブ/ディストーション
- ディレイ/リバーブ
- コーラス/フランジャー
- EQ/コンプレッサー
- アンプシミュレーター
LV2は、Linuxオーディオプラグインのオープンスタンダードとして、多くの開発者によって様々なプラグインが作られています。
パラメーターのリアルタイム調整
各エフェクトのパラメーターは、ブラウザ上でリアルタイムに調整可能です。つまみを回すように値を変更すると、即座に音に反映されます。MIDIコントローラーをマッピングすれば、フィジカルなコントロールも可能です。
プリセットの保存と管理
作成したペダルボードは名前を付けて保存できます。ライブ用、レコーディング用、ジャンル別など、用途に応じて複数のセットアップを用意しておけば、瞬時に切り替えられます。
PatchboxOSの他の可能性
MODEPはPatchboxOSのモジュールの一つに過ぎません。PatchboxOSには他にも様々なモジュールが用意されています。
- Pure Data – ビジュアルプログラミング環境
- SuperCollider – テキストベースの音楽プログラミング言語
- Csound – 歴史ある音響合成言語
- オーディオルーティング – 柔軟な入出力設定
つまり、ギターエフェクターだけでなく、シンセサイザー、サンプラー、ライブコーディング環境など、用途に応じて切り替えられるのです。一台のRaspberry Piで、様々な音楽制作環境を試せるのは、PatchboxOSならではの魅力です。
MOD Dwarfとの比較
以前ご紹介したMOD Dwarfは、専用ハードウェアとして洗練された製品です。一方、PatchboxOS + MODEPは、既に持っているRaspberry Piを活用できる点が魅力です。
MOD Dwarfのような完成度や安定性、耐久性を求めるなら専用機を、実験的な試みやカスタマイズ性、コストパフォーマンスを重視するならRaspberry Piを、という使い分けができます。
私自身、MOD Dwarfの記事を書いたことで、このビジュアルなペダルボード構築の世界に興味を持ちました。そして、手持ちのRaspberry Pi 3B+でも同じような体験ができることを知り、すぐに試してみたくなったのです。
まとめ:新しい音楽制作の扉を開こう
PatchboxOSとMODEPは、Raspberry Piを持っている方、特にプログラミングで音楽を創ることに興味がある方にとって、音楽の世界への素晴らしい入口となります。
MOD Dwarfのような高価な専用ハードウェアを購入する前に、手持ちのRaspberry Piで試してみる。そこから音響処理やエフェクトの仕組みを学び、より深い創作活動につなげていく。そんな学びのプロセスを、PatchboxOSとMODEPは提供してくれます。
せっかくRaspberry Pi 3B+が手元あるので試してみようと思います。
この記事を書いている2025年10月時点、正直にコスパ的なことを言えば円安などの影響かラズベリーパイがそこそこの値段なので、オーディオI/Oとかの値段まで考えると中国メーカーのマルチの方が良いように感じてしまいます。
でも、エフェクタールーティングの自由度を試せるし、なんかロマン的にもやってみる価値はあると思います。
リンク
- PatchboxOS公式サイト: https://blokas.io/patchbox-os/
- MODEP – Virtual Pedalboard for Raspberry Pi: https://blokas.io/modep/




