ノードベースプログラミングがペダルに!ZOIA・Beebo・MOD Dwarf-モジュラー型マルチエフェクター比較してみた
ナカジ(@cp_nakajun)です。
先日、YouTubeでアンビエントミュージシャンの演奏動画を眺めていたとき、見慣れないエフェクトペダルが映っているのに気がつきました。
調べてみると、それはempress effects ZOIAという機材で、なんとPure DataやMAXのようなノードベースプログラミングがペダルサイズで楽しめるというではありませんか。
僕はいちおうギターを弾くし、クリエイティブコーディングも大好きなので、これほど心躍る発見はありませんでした。
調べてみると、ZOIA以外にも同じくプログラマブルなエフェクトペダルとして注目を集めているpoly effects BeeboとMOD Dwarfという機種があることを知りました。
そこで今回は、この3機種を比較してみることにしました。
そもそもプログラマブルエフェクトペダルとは?
従来のエフェクトペダルは、あらかじめ決められた音響処理を行うものでした。しかし、プログラマブルエフェクトペダルは、ユーザー自身が音響処理のアルゴリズムを組み立てることができる革新的な機材です。
これらの機材では、オシレーター、フィルター、ディレイ、リバーブなどの基本的な音響処理モジュールを、まるでソフトウェア上でパッチケーブルを繋ぐように組み合わせることができます。Pure DataやMAX/MSP、VCV Rackなどのソフトウェアに慣れ親しんだ方なら、その魅力がすぐに理解できるでしょう。
3機種の基本スペック比較
empress effects ZOIA
- サイズ: 標準的なペダルサイズ
- ディスプレイ: カラーLCD
- 操作: 4つのエンコーダー + フットスイッチ
- 接続: ステレオ入出力、MIDI、USB
- 特徴: 独自のモジュラーシンセシス環境
poly effects Beebo
- サイズ: やや大きめのペダルサイズ
- ディスプレイ: タッチスクリーン
- 操作: タッチスクリーン + フットスイッチ
- 接続: ステレオ入出力、MIDI、USB、CV入出力
- 特徴: Eurorackモジュールの機能を多数搭載
MOD Dwarf
- サイズ: コンパクトなデスクトップサイズ
- ディスプレイ: カラーLCD
- 操作: 3つのエンコーダー + 2つのフットスイッチ
- 接続: ステレオ入出力、MIDI、USB
- 特徴: オープンソースプラットフォーム、豊富なプラグイン
それぞれの特色と魅力
ZOIA:直感的な操作性とオリジナリティ
ZOIAの最大の魅力は、その独特な操作感にあります。4つのエンコーダーを使った操作は慣れるまで少し時間がかかりますが、一度マスターすると非常にクリエイティブな作業が可能になります。
特に印象的なのは、「グリッドシステム」と呼ばれる独自のパッチング環境です。8×8のマトリックス上にモジュールを配置し、それらを接続していくという考え方は、他の機材にはない独創性があります。
また、empress effectsならではの高品質なサウンドも見逃せません。内蔵されているリバーブやディレイの質は、単体エフェクターとしても十分通用するレベルです。
Beebo:Eurorackの世界をペダルに凝縮
Beeboの最大の特徴は、タッチスクリーンによる直感的な操作と、Eurorackモジュールの豊富な機能を搭載していることです。Mutable InstrumentsのClouds、Braids、Ringsなど、人気の高いモジュールがペダルサイズに収められているのは驚異的です。
CV入出力を搭載しているため、実際のEurorackシステムとの連携も可能。モジュラーシンセの世界に足を踏み入れたい方にとって、理想的な入門機とも言えるでしょう。
タッチスクリーンでのパッチングは視覚的にも分かりやすく、Pure DataやMAXに慣れた方なら違和感なく使い始められるはずです。
MOD Dwarf:オープンソースの無限の可能性
MOD Dwarfの最大の強みは、オープンソースプラットフォームであることです。世界中の開発者が作成したプラグインが定期的に追加されるため、機能が日々拡張されていきます。
また、ウェブブラウザーを使ったパッチエディターは、大きな画面で直感的にパッチを組むことができて非常に快適です。複雑なパッチも見やすく管理できるのは大きなメリットです。
LV2プラグイン規格に対応しているため、既存のLinuxオーディオエコシステムとの親和性も高く、プログラミングに慣れた方なら自分でプラグインを開発することも可能です。
音楽制作スタイル別おすすめ
ギタリストには:ZOIA
ギターのエフェクトチェーンに組み込みやすく、フットスイッチでのライブ演奏にも対応しやすいのがZOIAです。empress effectsの技術力による高音質も、ギタートーンを重視する方には魅力的でしょう。
実験的なサウンドデザインには:Beebo
Eurorackモジュールの豊富な機能と、CV制御による複雑な変調が可能なBeeboは、アンビエントやエクスペリメンタルな音楽制作に最適です。タッチスクリーンでのリアルタイムパラメーター操作も表現力を高めてくれます。
プログラマブルな拡張性を求めるなら:MOD Dwarf
継続的な機能拡張と、オープンソースならではの柔軟性を重視するなら、MOD Dwarfが最適です。コミュニティーが活発で、新しいプラグインが定期的に追加されるのも魅力的です。
まとめ
この3機種は、それぞれ異なるアプローチでプログラマブルエフェクトの世界を切り開いています。Pure DataやMAXでのパッチング経験がある方なら、どの機材も新たなクリエイティブな可能性を開いてくれることでしょう。
僕個人としては、YouTubeで見つけたZOIAから始まったこの探求が、ハードウェアとソフトウェアの境界を曖昧にする興味深い世界への扉を開いてくれたと感じています。
皆さんも、ぜひこれらの機材で新しい音の世界を探求してみてください。きっと、従来のエフェクトペダルでは得られない、プログラマブルならではの表現力に魅了されるはずです。
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